my very precious days ーHIROSUE TOMOKO

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森の可能性

自分自身が斧を入れ、目の前でズッシン‥と倒れていくのを見守ったその木で造られた家に住むーー。
 昨今、車と同じ感覚で「家を買う」人が多い中、家を建てる人(施主さん)自身が、いちばん初めの木を伐採する段階から家造りに参加することで「自分の家がこれからこの木で造られるんだ」という感慨を新たにしてもらう‥というプロジェクトをとある県内企業が進めています。84%が森林の高知ならではの取り組み。その伐採の瞬間にひょんなことから立ち会わせてもらう機会に恵まれました。
向かったのは、最近では龍馬脱藩の道で人気の、梼原町の山中です。
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 集まったのは、施主さんと、家の建築を請け負った企業のスタッフ、そしてこれからその家造りにかかわることになるかもしれない建築家ら。斧を入れるのは、高さ25メートル、天空に向かって凛とまっすぐに伸びた樹齢50年のヒノキです。初めに、森林組合の代表の方が「山の神様、そして木の精霊、50年間、この土地でこの木を立派に育てていただいてほんとうにありがとうございます」とお酒を供えて一礼し、その「神酒(みき)」を木の根もとに掛けてから、施主さんがこわごわ?斧を振り下ろしました。
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続いて森林組合の方がチェーンソーを入れ、「さあ、みなさん、どちらの方角に倒れるか分かりませんから、気をつけてくださいよ」と一声。すると、50年間、この地ですくすくと育ったこの木は、まるで、「これで終わりじゃない。さあやっと、これからが僕の人生(木生?)の始まりさ」と言わんばかりに、いさぎよく、ズシーンッと音を立てて倒れていきました。本当に、あっと言う間の出来事。動画に撮れば良かった、と思いましたが、後の祭りでした。
無事に神事を終えた後は、みんなで森林組合の工場へ。今、伐った木がこれからどういうふうに家の柱材になっていくのか、その過程をじっくりと見学させてもらいました。a0230008_21144131.jpga0230008_21105739.jpg
まさにバウムクーヘンのような、丸太の断面は、真ん中のピンクの部分が心材で、強度に限っては、その周りの白い部分の方が強いようです。そのため、その木をどこの柱に使うかによって、木の加工も違ってくるのだそうです。森林工場見学は初めての私ですが、とても勉強になりました。梼原のこの工場は、環境問題が今ほどかまびすしく言われる前から、持続可能な森林資源の生産と木材の付加価値を高めるための「森林認証制度(FSC)」を取得していたそう。こうした工場と、単に家を売るだけの商売をしていない企業とが一緒に取り組み、本当に梼原の木を愛する施主さんを育てていくことで、高知の森林産業の可能性はまだまだ広がるのではないかと感じました。
40代の施主さんは、70代のお母様が古い家の階段で転んで入院したのを機に「本気で家を建てよう」と決心されたと言います。自分の家の大黒柱となる木に自らの手で最初に斧を入れたときは、「何とも言えない、不思議な気持ち」がしたそうで、工場を見学した後は、「自分の家を建てるんだ、という実感がやっと湧いてきた」ととてもいい表情で話されていました。
最後に、施主さんと建築家の方々と、脱藩の道のたもとにある三嶋神社へ。境内にある樹齢400年のハリモミや、梼原の名前のもととなった梼の木をじっくりと眺めて帰りました。
高知の、梼原の、森林を思う存分満喫した1日でした。人気ブログランキングへ
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by hirotomo0301 | 2011-09-12 21:55

21年間続けた一地方紙の記者の仕事から足を洗い、2カ月半の世界13カ国周遊1人旅から帰ってはや半年。過去の日々を振り返りつつ、次の一歩を模索していきます。


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