my very precious days ーHIROSUE TOMOKO

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故郷の面影を求めて

 
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 Kortrijkーコルトレイクー。ベルギー北西部の歴史ある街。そう、我らがデルちゃんが生まれ育った想い出のいっぱい詰まった街です。ベルギーと聞けば、コルトレイクと浮かぶぐらい私にとってはなじみ深いのですが、「地球の歩き方」では1行も触れられておらず、特に、日本人にとっては、そんなに有名な街ではないよう。それだけ、私はデルちゃんからその名前をよく聞いていたのだと思います。
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 私のこの旅の最大の目的地でもあったこのコルトレイクに、特別に寒かった先日、案内役を買って出てくださったジョス神父様の車で、ルーベンから高速道路を通って2時間近くかけて行ってきました。一番上の写真は街の中心に立っている塔。戦争時の見張りなどに使われたものと思われます。次の写真は市庁舎。いずれも中世から残っている数少ない貴重な建築物です。
 そして、デルちゃんがフラマン語で書いていた8冊の自叙伝の最初の方に綴られている、大家族の愛情に包まれ、幸せな少年時代を過ごした懐かしの家もこの中心部のすぐ近くのようでした。ジョス神父さまが道行く人に尋ねてくれたりしながら、在りし日の面影を求めて2人で街を歩きました。デルちゃんの本によると、一家が住んでいたのは「カステル通り」。ベルギーではstreetはstraatなので「KASTEEL STRAAT」。その通りは今もちゃんとありました。
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 この前お会いしたお兄さんのお話によると、おうちはカステル通りの27番地にあったそう。行ってみると、昔の建物は何も残っておらず、その番地の辺りは普通の近代的な建物に変わっていました。
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 現在、ここは、子育ての悩み相談所みたいなところだそう。昔のおうちが全くなくなっているというのは、やっぱり、寂しいものですね。
 でも、デルちゃんの本にも「家からすぐのところにレイユ川があった。麻の工場の廃水が流れていて、臭くてあまり綺麗な川ではなかった」と書かれているのですが、そのレイユ川はほんとにお家のあった辺りから1分もかからず走っていける場所にありました。
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 デルちゃんの言う通り、あんまり綺麗な川ではありません。昔は繊維業が盛んだったため汚れていたのでしょうが、今もそのなごりで濁っているのでしょうか。でもそれだけに、高知で言えば、久万川か江ノ口川のようなごくごく庶民的な、市民にとっては昔も今も生活そのものの川のように思えました。本には、このレイユ川のことが何度も出て来ます。日曜日の午後には一家全員で、お父さんとお母さんは仲良く手をつなぎ、9人の子どもがそれについて川沿いの道を隣町のクールナまで歩いていった想い出など。川沿いの道は今は舗装されていましたが、昔はきっと草むらの中の道だったのでしょうね。
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 第2次世界大戦で破壊されたせいもあるのでしょうか。昔の家々は思ったよりも残っていないコルトレイクの中心部ですが、もちろん中世以来ずっと残っている橋や要塞、教会や道も至るところにありました。
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 これは、レイユ川にかかる橋と要塞。ジョス神父様のお話では、1302年の7月11日、フランダースの軍隊は、フランス軍をコルトレイク近郊の沼地に追い込む戦略で勝利を収めたことから、今でもこの日はフランダース地方の独立記念日のような祝日になっているそう。その史実に象徴されるように、コルトレイクは昔からベルギーのフランダース地方の中でも重要な砦だったのでしょう。
 そして、デルちゃんの本にも出てくる家のすぐ近くのイエズス会の教会もちゃんと残っていました。ほんとにここも家から3分もかからないほどの近く。一家は敬虔なカトリック信徒の家庭として近所でも評判で、ザビエル少年(デルちゃんの名前はザビエル=デルポート)も日曜日には必ずミサで侍者(ミサごたえ=ミサの時に神父様の手助けをする少年)を務めていたのです。
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 正面から見ると、1610年の文字が見えます。400年も前に建てられたのですね。裏側から見ると、余計に歴史を感じることができました。右下に立っておられるのはジョス神父さまです。
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 そして幸運にも扉が開いていて中に入ることができました。
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 今は毎週ミサに来る信者の数も昔ほどはいないのか、椅子は少なく、真ん中が広々とした堂内。派手な装飾はありませんが、古い切り株でできた説教台や、ジョス神父さまも初めて見たという、身ごもったマリア様の像などが中央に置いてありました。これらはデルちゃんの少年時代もあったのでしょうか。80年近く前の教会の様子を想像してみましたが、なかなか映像のように頭に浮かんでくることはありません。でも、ここで彼が信仰心を強め、この教会の神父様の勧めもあって、神父になる道、そして宣教師となる道を選ぶことになっていったのは確か。今、ベルギーに来るまではまったく存知あげなかったジョス神父さまと一緒にこの教会に立っていることに、目に見えない神様の計らいを感じずにはいられませんでした。
 
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 コルトレイクは、今もちょとした街角にも小さなマリア像があり、聖母への信心が深い土地柄。きっとデルちゃんも人一倍そうだったでしょう。教会内の大聖堂のすぐ横にはマリア様を真ん中に置いた小聖堂があり、ラテン語で「CONSOLATRIX AFFLICTORUM(悩む人、苦しむ人を慰める方)」の文字が。それを見て、やはりマリア様が私をここにお導きくださったのだなあとも深く感じました。
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 往復約4時間の道中、ジョス神父さまといろんなお話ができたのも、いつもながら、本当に楽しかったです。ジョス神父さまとお話ししていると、生前のデルちゃんと話せなかったことを一緒に話し、聞いている思いがし、これも神様のお恵みだとつくづく感じつつ、残り少ないベルギーの日々を過ごしています。
 最後の写真の後ろに写っているのは、街でいちばん大きな聖母教会。ここで今年5月、ご家族や地元の方々のために、デルちゃんの追悼ミサが行われたそうです。懐かしい故郷のたくさんの人々の顔を天国から見て、高知で眠っているデルちゃんもさぞかし嬉しかったことでしょう。
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by hirotomo0301 | 2011-12-01 07:14

21年間続けた一地方紙の記者の仕事から足を洗い、2カ月半の世界13カ国周遊1人旅から帰ってはや半年。過去の日々を振り返りつつ、次の一歩を模索していきます。


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