my very precious days ーHIROSUE TOMOKO

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ほんとのサンタクロース

 もうすぐクリスマス! でも本番までまだあと二十日余りはありますよね。なのに、ここベルギーの子どもたちはもうそわそわ。なぜかというと、こちらではサンタクロースがやって来るのは12月6日の前夜。だからもうカウントダウンに入っているんです。
 正確に言うと、サンタクロースではなく、聖二コラ。私もベルギーに来て初めて知ったのですが、ベルギーだけでなく、イタリアやスペインやフランスやそれにオランダなど、主にカトリックの国を中心に、ヨーロッパのサンタクロースはクリスマスイブにではなく、12月5日から6日にかけての深夜に家々の煙突からやって来るのだそうです。
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 これは、11月下旬のある日、ルーベンの教会前に突如現れた馬小屋前で子どもたちに笑顔を振りまいていた黒人のおじさんと白い馬。最初、見たとき、私は「変なおじさんー・ー」と思っていたのですが、こちらではこれは定番のクリスマス前の風景だったのです。
 じゃあ、このおじさんがサンタクロースなの?と思われるでしょうがか、残念、そうではありません。こちらのサンタクロースである、聖二コラは4世紀に実在した北アフリカの司教様で、カトリックのれっきとした聖人。そして、この司教様はアフリカからヨーロッパへ奴隷として連れていかれる子どもを救っては教育を施されるといった活動をしていたことから、子どもたちの守護聖人のように崇められるようになったのだそうです(これは「地球の歩き方」には載っていないお話。諸説あるかとは思いますが、私はジョス神父さまにそう教えていただきました)。その聖二コラの亡くなった命日が12月6日で、ヨーロッパでは、この日に聖二コラが黒人の従者を従えてロバに乗り、各家にやって来て、子どもたちにプレゼントを配る、というしきたりになっていったようなのです。
 つまり、このおじさんは、聖二コラと一緒にやって来る従者だったのです! ロバではなくて、ここでは白い馬ですけどね。
 
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 これは、オランダのドルトレヒトという街で見掛けた外壁の飾り。屋根の上の方に向かって小さな黒人の人形が綱渡りをしているようです。アップで見るとこーんな感じ。さっきのおじさんとよく似た格好をしていますよね。
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 なぜロバかというと、ロバは北アフリカの動物だから。各家では6日の前夜、煙突の下の暖炉やストーブのある辺りにロバの好きなニンジンやビートを入れた箱を置いておき、その上に「○○と△△をお願いします。その代わりにいい子でいることを約束します」といった手紙を書いて載せておくのだそうです。そうすると翌朝、箱の中には「頼んでもないのによくお菓子が入っていたねえ」とジョス神父さま。60年以上前の想い出でしょうが、こちらでスペクロースと呼ばれる20〜30センチメートルもする特大のクッキーのほか、パズルなどの小さなおもちゃが入っていたみたいです。子どもたちの喜ぶ顔、期待したものと違って少しがっかりしたりもする顔が目に浮かぶようですね。
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 中にはプレゼントの箱をこれでもかというぐらい、吊り下げたお家もありました。日本とは全然違うクリスマスの光景ですね。
 といっても、ジョス神父さまによると、聖二コラの祝日は12月6日であり、クリスマスとは関係ない習慣だそう。ヨーロッパでもカトリックの国々はクリスマスイブにサンタクロースが来ることは基本的にはないそうです。世界的にサンタクロースが広まったのは、同じキリスト教でもプロテスタントの国々の人のアイデアから。カトリックと違ってプロテスタントには聖人という存在はありませんから、聖二コラを崇拝することもありません。それでも、頑張っている子どもたちに何かプレゼントをあげるのは良いこと、という発想から、北欧フィンランドでそりに乗ったサンタクロースがトナカイに引かれてクリスマスイブにやって来るというストーリーができあがっていったのだそうです。
 ちなみにサンタクロースが赤い服を着ているのは、聖二コラが司教さまだったので赤い服を着ていたから。「聖二コラがプロテスタントの国々でいつのまにかサンタクロースになった」ということでした。
 
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 聖二コラはスペインから船に乗ってやってくる、という説もあることから、家々の窓には子どもたちが作った船と聖二コラのかわいい飾りも。12月6日を指折り数えながら待っている様子が伝わってきます。この日が終わると、ベルギーでは一気にクリスマスムードが高まり、今では少ないでしょうが、敬虔なカトリック教徒の家では、今でもクリスマスイブには家族でごちそうを食べてから深夜のミサに行きます。翌25日は日本のお正月のように親戚で集まってお祝いをするのだそうです。
 そう聞くとなんだか、サンタクロースの由来など考えずにクリスマス前には子どもを満足させるためトイザラスなどに押し掛けたり、庭中をイルミネーションで飾り立てたり。それに、恋人同士で過ごさなければ淋しい人かのように言われる日本のクリスマスは何かむなしく感じてしまいます。
                ◇     ◇     ◇
 さて今日(12月1日)、久しぶりにブリュッセルの中心部に行ったのですが、グランプラスはすっかりクリスマスの飾り付けがなされ、周辺ではまだ小規模ですが、クリスマスマーケットが開かれていました。
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 そんな中、何やら大通りでたくさんの人が大騒ぎをしている様子。警官も出ていて、何なのかなあ?と思っていると、よさこいの地方車みたいなの(そんなに派手ではないですが)を先頭に、わざと汚れた格好をした若い子たちが歌ったり、踊ったりしながらパレードを始めました。すると、その中に聖二コラが!
 
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 一休みしていた女の子たちに何なのか聞くと、ベルギーの大学生が連合して聖二コラのお祭りをやっているのだそう。やっぱり、子どものときから親しんできた聖ニコラのことは、大学生になってもみんな大好きなよう。1人しかいない聖ニコラは大忙しで学生の間を行ったり来たりしていました。 
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 パレードも終了。暗くなるのを待ってグランプラスに戻ると、壮大な光と音楽のショーが。その場にいないと、その美しさはなかなか伝えられませんが、帰ってみんなに見せようと、ついついいっぱい動画に撮ってしまいました。
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by hirotomo0301 | 2011-12-02 04:44

21年間続けた一地方紙の記者の仕事から足を洗い、2カ月半の世界13カ国周遊1人旅から帰ってはや半年。過去の日々を振り返りつつ、次の一歩を模索していきます。


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