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my very precious days ーHIROSUE TOMOKO

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友とバスツアー in 大阪〜2

 さて今回は、前回詳しく書けなかった、「大阪聴覚障害者福祉会」さんの運営する障害者支援施設「なかまの里」の見学の様子を。
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 場所は大阪のかなり郊外。大阪府泉南郡熊取町という緑に囲まれたところにあります。
副施設長さんの説明によると、この施設は「ろう重複障害者が、社会参加(仕事)でき、生き生きと生活できる施設をつくろう」という目的のもとに運動を行い、約20年前にスタートしたもの。入所者は皆さん聴覚障害を持っており、それに加えて知的・身体・精神など二重・三重に障害のある方がほとんどなのだそうです。
 施設の主人公は「なかま」と呼ばれる利用者さん。現在は60人が共同生活をしているそうですが、その中でも一人一人の主体性・自立性を重視した支援が行われていました。
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 この日はあいにく休日だったので、「なかま」のみなさんが作業しているところは見学できなかったけれど、施設の玄関で販売していたようなクッキーやパウンドケーキ、おせんべいやTシャツなどをつくって販売しているよう。 「なかま」の最高齢の方は80歳だそうで、全体の平均年齢も56歳とのこと。現在は、ろう高齢者が生活できる施設ができているのですが、少しでも、ここ「なかまの里」で働きたいと希望する方がほとんどと言います。「若いときに、働きたくても仕事がなく、ここへ来て初めて働いてお金をもらうことの喜びを知った」と言われる方も多くいるそうです。
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 ↑↑こんなふうに、給料日もちゃんと告知していて、「なかま」はその日を楽しみにしている様子。毎日曜日は、施設内にカフェが開設される時間もあって、ちょうど100円ぐらいで気軽に食べられるお菓子や珈琲でなごんでいる方々にお会いすることもできました。
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 そのほか、なかまの里がこだわっている基本は「女性の介護は女性職員が、男性の介護は男性の職員が行う」ということだそう。人間として当たり前のことですが、なかなか人出の問題もあって、そうはいかないのが実態の施設も多い中で、この施設の誠実さを強く感じました。
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 ↑↑個室はこんな感じで、ノックする時にはピンポンの音の代わりに、オレンジの光が点滅する仕組み。それでも夜間の職員は3人だけ。「もし、火事でも起こったら一人一人を叩いて起こすのは無理」と副施設長さんは言います。そのため個々のなかまの枕の下にバイブレーターを敷いていて、何かあればその振動で危険に気付いていただく仕組みをとっているそうです。障害の重い方たちばかりだけに、訓練も繰り返し行っているそうです。それから「なかまが自分でできることは自分で。援助の必要なところをお手伝いする」のも施設のモットー。洗濯等も自分でする人もあり、洗濯機もずらりと並んでいました↓↓
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 さらに、「なかまの願いはできる限り聞いてあげましょう」というのも施設が大事にしているポイントで‥。
 
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 上の写真。「今日は鍵がかけてあるから中がお見せできなくて残念ですが、この中なんだと思いますか?」と副施設長さん。答えはなんと、「パチンコ台とスロット」だそうで、びっくり!!ここは普段、「なかま」が余暇を楽しむために集う場所。もちろん玉は循環するだけで景品とは変えられませんが、絵が動いたりするのを見るだけで楽しいという人や、昔を思い出して楽しむ人などでいつも順番待ちの状態。10〜20分で交代するようにしているそうです。下の写真は後日、送ってもらった「なかま」のみなさんがスロットを楽しんでいるところの写真ですが、ほんとにみなさん、喜んでいるのが背中から伝わってきます。ちょっとした遊び心も大切にしているユニークな施設ですね^^
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 そのほか、私が一番いいなぁと思ったのは、それぞれの「なかま」の誕生日に近い日を「私の日」に決めて、その人がいちばん行きたいとこや、やりたいことを何でもできる限りかなえてあげているということ。「新幹線に乗りたい」という人もいれば、「映画を見たい」「猫と遊びたい」「メロン狩りをしたい」という人も。一日中、自分の好きなことをして帰ってきた「なかま」は、みんな満足してニコニコ帰ってくるそうです↓↓
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 中庭にはみんながいつのまにか持ち寄ってきたというグリーンもいっぱい。
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 施設の見学を終えた、高知県聴覚障害者協会会長の竹島春美さんは、「養護老人ホームにしてみても、視覚障害者に比べて聴覚障害者の施設は格段に少ない。『なかまの里』のような、聴覚と他の重い障害を併せもった人たちが働ける場所は高知にはもちろんないし‥」と聴覚障害者を取り巻く現状を憂慮。さらに「聴覚障害は意思疎通の手段がほぼ手話。だから、手話のできる職員やないと対応ができない」と手話がもっともっと広まることがすべての前提になると強調し、「音声言語の『日本語』と同じように、この日本で、『手話』がごくごく当たり前に、普通に使われる環境にならないと‥。そうなるまでどれほどの時間を要するかと考えると気が遠くなる。『なかま』が安心して暮らせる社会環境をつくっていくために声をあげたい。でも当事者や関係者だけではなかなかなのよ」と歯がゆい胸のうちをメールで話してくださいました。
 私もメールだけでなく、直接、手話で話せるようにならなければ‥と強く感じた次第でした。
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by hirotomo0301 | 2012-10-17 08:00

21年間続けた一地方紙の記者の仕事から足を洗い、2カ月半の世界13カ国周遊1人旅から帰ってはや半年。過去の日々を振り返りつつ、次の一歩を模索していきます。


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